家庭教師の契約前に確認すること|解約・クーリングオフ
この記事は、消費者庁の「特定商取引法ガイド」と東京都の公開情報をもとに、法律のしくみを一般的に説明するものです。個別の契約がどう扱われるかは、契約の内容によって変わります。迷ったときは、消費者ホットライン「188」に相談してください。
結論
- 家庭教師の契約は、期間が2か月を超え、総額が5万円を超えると、特定商取引法の「特定継続的役務提供」になります。総額には入会金や教材費なども含みます
- その場合、法定の書面を受け取った日から8日以内ならクーリングオフができます
- 8日を過ぎても、契約期間中はいつでも中途解約できます。事業者が請求できる解約料には上限があります
- 体験授業のあとに、広告になかった高額な教材を勧められるトラブルが公表されています。その場で契約しないことが大切です
どんな契約が対象になるか
家庭教師で対象になるのは、入試対策や学校の補習のための指導で、期間が2か月を超え、総額が5万円を超えるものです。オンラインでの指導も対象になりえます。
対象にならないことがある例:
- 1か月ごとに更新する月謝制の契約(ただし、教材の購入などで実際には長く縛られる場合は対象になることがあります)
- 期間が2か月以下、または総額が5万円以下の契約
- 小学校受験(いわゆるお受験)の対策
契約の前に、契約期間と総額を書面で確認しておくと、どのルールが当てはまるかが分かります。
クーリングオフ
- 期間:法定の書面を受け取った日を1日目として、8日以内
- 方法:書面か、メールなどの電磁的記録で通知できます。書面なら特定記録郵便や書留など、メールなら送信の記録を残しておきます
- 効果:すでに受けた授業の料金を払う必要はなく、違約金もかかりません。払ったお金は返されます
- 教材:事業者が指定した教材などの関連商品も、一緒に解除できます
- 事業者がうそを言ったり脅したりしてクーリングオフを妨げた場合は、8日を過ぎても行えることがあります
- 法定の書面を受け取っていない、または書面に必要なことが書かれていない場合は、8日の期間が始まっていないとされることがあります(東京都の委員会が、契約から10か月後でもクーリングオフできると判断した例があります)。8日を過ぎたからとあきらめず、消費生活センターに相談してください
中途解約と解約料の上限
クーリングオフの期間を過ぎても、契約期間中であれば理由を問わず解約できます。家庭教師の場合、事業者が請求できる額の上限は次のとおりです。
| 時期 | 事業者が請求できる上限 |
|---|---|
| 指導が始まる前 | 2万円 |
| 指導が始まった後 | 受けた分の授業料 +(5万円か1か月分の授業料の、低い方) |
これは上限で、実際の精算額は契約の内容によって変わります。入会金を「返さない」とする約束は無効とされています。
教材とクレジットの注意
- 事業者が指定して買った教材は、本体の契約を解約するときに一緒に解約できます。東京都の相談事例では、契約書に書かれていなくても、事実上購入が条件になっていれば解約できると説明されています
- 自分で書店などで買った参考書は対象外です
- 教材をクレジットで払っている場合、一定の条件を満たすクレジット契約では、クレジット会社に「支払停止の抗弁」を申し出られます。使えるかどうかは契約の内容によるので、消費生活センターに相談してください
- 中途解約のときは、返品した教材は通常の使用料相当額を、返品しない場合は販売価格相当額を、上限として請求されることがあります(クーリングオフのときは、引き取りの費用は事業者の負担です)
公表されているトラブルの例(東京都)
東京都内の消費生活センターに寄せられた家庭教師の相談は、2023年度が62件、2024年度が76件でした。東京都が公表している例には、次のような流れがあります。
- 広告の安い授業料に引かれて体験授業を受けたところ、体験のあとで高額な教材の購入が必要と説明され、その場で契約した
東京都は、その場で契約しないこと、教材の必要性と金額の内訳、解約の条件を確認すること、説明された内容が契約書に書かれているかを確認することを呼びかけています。
契約書を受け取ったときに確認したいこと
- 契約期間と総額が書かれているか(特定継続的役務提供の対象かを判断する材料になります。指導の内容や契約の形も関係し、対象外でも勧誘のしかたによって別のルールが当てはまることがあります)
- 法定の契約書面を受け取った日(受け取った日を1日目として8日以内がクーリングオフの期間です。書面が渡されていない、または必要なことが書かれていない場合は、期間が始まっていないことがあるので、188に相談してください)
- 購入が必要な教材の名前と金額が書かれているか(書かれていない教材の購入を求められたら、消費生活センターに相談してください)
- 中途解約のときの精算方法(受けた授業の料金と、解約料の計算のしかた)
- 休会の扱い(法律で決まった扱いがなく、各社の規約によります)
- ローンやクレジットを組む場合、その契約の相手と内容
講師や料金について体験・相談のときに確認したいことは、体験・学習相談の確認リストにまとめています。
困ったときの相談先
- 消費者ホットライン「188」:近くの消費生活センターなどを案内してくれます(相談は無料、通話料はかかります)
- 東京都消費生活総合センター:03-3235-1155
出典
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供」(確認日 2026-10-13)
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供Q&A」(確認日 2026-10-13)
- 東京くらしWEB 注意喚起(2026年5月28日)(確認日 2026-10-13)
- 東京くらしWEB 相談事例(家庭教師の教材の解約)(確認日 2026-10-13)
- 東京都 報道発表(2025年7月18日)(確認日 2026-10-13)
- 消費者庁「消費者ホットライン」(確認日 2026-10-13)